36協定もルール変更!
今回の法改正で、時間外労働の上限規制が新たに法制化されたことに伴い、36協定もそれに合わせたルール変更が行われます。(施行日:平成31年4月1日、中小企業には1年間の猶予期間あり)
1.協定期間の区分
36協定では時間外労働の1日及び一定の期間の残業時間を労使で協定する必要があります。従来はその一定期間が“1日を超え3ヶ月以内の期間”及び“1年間”となっていたのが、今回の法改正により、“1ヶ月”及び“1年間”という形で協定しなければならなくなります。
今までは、“1日超3ヶ月間以内”で任意の期間を選択できていたのが、1ヶ月に統一されるということになります。シンプルにはなりますが、融通が利かなくなります。
例えば、今までは決算時期等の関係で4半期の最終月に繁忙期が来るような企業であれば、3ヶ月単位で残業時間を限度時間の上限120時間で協定し、最初の2ヶ月間の閑散期は各月20時間程度の残業で、最後の1ヶ月間の繁忙期に集中的に80時間残業を行い、3ヶ月トータルの閑散具合で調整するようなやり方が可能でした。
しかし今回の法改正により、月間残業時間の上限が規制されることになった関係で、一定期間の区分は1ヶ月および1年となり、2ヶ月や3ヶ月で協定することができなくなります。
2.チェックボックスの設置について
休日労働を含め単月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内の上限規制が守られた協定であるか否かは、様式上の1ヶ月、1年の協定時間の記載だけでは判別がつきません。そこで、労使双方の遵守事項の確認という意味を込め、新たにチェックボックスを設けるようにしました。このチェックボックスにチェックが入っていなければ、不適正な協定届となり、返戻対象となります。また、このチェックボックスは特別条項付の協定届だけではなく、通常の様式にも設置されておりチェックが求められる項目になります。
3.特別条項付きの様式の新設
今までの36協定届では、“特別条項”専門の様式というものは厚労省からは指定されたものはなかったので、通常の協定届けの余白や欄外に特別条項の内容を記載するか、あるいは特別条項の内容が確認できる協定書を添付するのが一般的な提出方法でしたが、今回の改正に伴い、特別条項付き協定届の様式を新設し、厚生労働省令にて規定した上でWeb上で公開しています。
“限度時間を越える労働させる場合の手続き”等を記載する必要があることは以前と変わりませんが、裏面に“記載の心得”という部分を設け、限度時間を越えた労働者に対する、健康福祉措置も協定内容に記載させる等従来の協定届けより厳格なものとなっております。
4.“対象期間”という概念・用語の新設
今までになかった“対象期間”という概念、用語が加わります。対象期間は1年間のみとなります。
(労働基準法36条2項2号にて規定ー36協定により労働時間を延長し、あたは休日に労働を命じることができる期間を対象期間といい、1年間に限るものとする)
改正される時期と内容
施行時期 | 改正される法律 | 企業がおさえるべきポイント |
2019年4月 | 労働基準法 労働時間等設定改善法 労働安全衛生法 | 【義務】時間外労働の上限規制(大企業) ※ただし適用猶予事業あり 【義務】年次有給休暇の年5日時季私的付与 高度プロフェッショナル制度の創設 フレックスタイム制の清算期間 最長「3ヶ月」に 【努力】勤務間インターバル制度の導入促進 【義務】労働時間の客観的把握 【義務】産業医・産業保険機能の強化(従業員数50名以上) |
2020年4月 | 労働基準法 労働契約法 パートタイム労働法 労働者派遣法 | 【義務】時間外労働の上限規制(中小企業) ※ただし適用猶予事業あり 【義務】雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保 「同一労働同一賃金」(大企業) 【義務】派遣労働者への待遇改善措置 |
2021年4月 | 労働契約法 パートタイム労働法 | 【義務】雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保 「同一労働同一賃金」(中小企業) |
2023年4月 | 労働基準法 | 【義務】月60時間を超える暗行に対する割増賃金率引き上げ 25%→50%(中小企業) ※大企業は2010年より適用 |
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特に従業員数50名未満の中小企業・小規模事業者がおさえるべき義務については赤字にしています。
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